フィレンツェを訪ねる


     1997年9月

アッシジから北西に向けておよそ200キロの道程をバスでフィレンツエに走る。 夕刻フィレンツエ手前のPontassieveのHotel Moderno に到着する。回りはごく普通の住宅地と言う雰囲気で観光地ではない。

夕食に出されたオーテル・モデルノのフィレンツエ風ステーキは肉の好きな私もその大きさと歯ごたえにチョッと引いた。

夜付近を散策すると言う場所ではなかったが、窓の外のざわめきと言うか人の声に何事だろうと出てみる。何故かやたら人が集まっている。ホテル前のちょっとした広場に立ち話する人人。不思議に思った私は
      





(アルノ川 上はベッキオ橋下はカライア橋 1997年)



「何かあるのか?」
と思わず近くの男に声をかけていた。
「いや何もないよ。いつもの事でこうして夕食の後に近所の連中と話をしているのさ!」
と言う返事だった。益々判らない。イタリア人はおしゃべり好きとは聞いていたが。

翌朝はバスでフィレンツエ市内に向かった。午前中はフィレンツエ観光。その後およそ100キロ先のピサを訪ね,更に260キロ走って夜にはベネチアに入る。結構ハードな1日が始まる。




フィレンツエ市内に入りバスを降りると朝陽を浴びて丁度アルノ川に沿って歩く。爽やかな朝だ。最初の訪問地ウフィツイ美術館を目指す。途中橋の上は土産物店になっていると言うベッキオ橋をカメラに収める。

15世紀の富裕な銀行家であるメディチ家一族のコレクションが収まるウフィツイ美術館。ルネッサンスの華、ミケランジェロからレオナルド・ダ・ヴィンチの作品が見られる。

しかし早朝から既に長蛇の列。立って待たされる時間が30分のうちはともかく、やがてそれが1時間を過ぎ2時間に及ぶやツアー旅行の馬鹿らしさを思い知らされた。列の中には日本人のツアー客も結構いる。 何処を歩いても、何を見ても街自体がルネッサンスの芸術に包まれているのに、半日しかないフィレンツエの時間をこんな風に潰してしまった。

(ウフィツイ美術館の並びベッキオ宮殿前;左 アポロ像 右 ヘラクレス像 1997年)

美術館の後限られた時間でドゥオーモへ向かう。花のサンタマリア大聖堂の別名を持つと言われる巨大な寺院。13世紀末から建造され15世紀始めに完成されている。 中には入れなかったがここにもミケランジェロの未完の作品「ピエタ」像がある。


(右 ドウオーモ 1997年)








ルネッサンスの都フィレンツエのイメージはデウオーモの丸い大きなドームの見える街全体を俯瞰した景色にあった。それは多分アルノ川の対岸にある 小高いミケランジェロ広場から見た光景であろう。残念ながらそこまで行く時間はなかった。デウオーモもジオット塔もサンタマリア・ノッペラ教会もすべて駆け足で見た。







フィレンツエ市内のホテルでランチを取った後午後2時の出発までわずかな自由時間があった。私はアルノ川はアメリゴ・ベスプッチ橋を渡りアルノ 川に架かるカライア橋を望む写真を撮った。午前中いたずらに美術館に並んでいた時間が恨めしい。

どこへも行く時間のないまま街角のさりげない風景を撮っていた。一つはカフェテラスでコーヒーを飲む人であり,もう一枚は果物の並ぶ路地。























時間のないのを惜しみつつフィレンツエを後にした。次の機会には1人で訪れる事を期待して。



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