メルロ―ズを訪ねる |
A 1998年 |
6月29日(月曜日)ダーリントンからバスは 高速を走りつづけて3時間。午前11時にはス コットランドの小さな町メルロ―ズに到着。 この町で一番大きな商店で、1階は土産店、2 階はレストランというアビ―ミルの前で解散。 12時50分の集合時間までおよそ2時間近い 自由時間。 『私は一人土産店の前のなだらかな坂を上る。 少し坂を上がった左手の塀の中にメルロ―ズ寺 院が見える。・・・・狭い事務所を抜ける と緑いっぱいの広い芝生の中に赤茶けた聖堂 が立っている。 近ずくと聖堂の中に明るい日が 満ちている。一歩足を踏み入れてそのわけを理 解した。天井は抜けていた。12世紀に建立され ているが、16世紀の半ばにはスコットランドに侵 入して来たイングランド軍により攻め落とされた。 そして廃墟のままおよそ450年もここに佇んでい る。 |
(Melrose Abbey)
『煉瓦造りの聖堂の壁だけがしっかりと立っている。一部はその壁さえ
崩れ落ちており、それを跨いで右手の外へ出る。眩しい太陽の光の中に
幾つもの墓標が立ち並んでいる。誰もいない墓地の中へ進む。・・・・・・・
墓石の立つ一面の芝生の緑はここスコットランドの初夏の眩しいほどの
陽を浴びて輝いている。その主は何百年も前にその下に土葬されて長い
眠りについている。この明るさと静謐の空間に私は一人立ちすくむ。観光
ツアーで訪れていることを忘れ一瞬現実感失った。』
(Priawood Garden)
『メルロ―ズ寺院を出てすぐに小さな庭園を見つける。 入り口には英国の自然保護団体のナショナル・トラストの プライアウッド・ガーデンという小さなプレートが下がってい る。人気はなくそのまま中へ入る。 所々に黄色と紫の花が咲いていたが、庭園というより畑か と思うほどに無造作に草が生えている。誰も見当たらなか ったが脇の道を歩いている内に隣の畑より赤や青のジャン パーを着てリュックを背負った小さな小学生の一団が現れ た。・・・・・・ さきほど佇んでいたメルローズ寺院の墓地のことが嘘のよ うだ。 |
『 小さな庭園を後にしてさらに坂道を行くと町の広場に出た。
中央の花壇にポールが立っており三叉路になっている。
このままさらになだらかな道を上ることも出来る。
右には下り坂がひらけている。この坂道の方は両側に店が
並んでおり簡単にランチを取れるところがあるかもしれない。
店先を覗きながらその坂を下る。』
(A Square of Melrose)
結局私はスタートのアビ―・ミルの2階のレストランに戻り、一人
ゆっくりとランチをすませた。 一階に下りた時、店のおばさんが
「さっき人を探していましたよ!」 という意味が判りかねた。
しかし店の外へ出るとバスの乗り口で運転手のトーマスが手を
上げている。 まだ12時25分なのにと思っていたが、集合時間は
12時50分ではなく実は12時15分だという。
今回は10分の遅刻ですんだが、私はまたしても失敗をしでかした。