フランスの旅 FRANCE
PARIS 1994 |
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PARIS 1980 | |
VERSAILLES | |
FONTAINEBLEAU |
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BARBIZON |
(Musee du Louvre 2002)
6月25日(火曜)にスタートした今回のドイツ・ロマンチック街道・スイスアルプスとパリ 9日間の最後のコースとして、ジュネーヴからフランスの新幹線とも言えるTGVで3時 間40分かけてパリのリヨン駅に到着した。 ホテルに到着したのはほとんど深夜と言う ハードなスケジュールだった。 翌7月1日(月曜)朝、9時15分にルーブル美術館の団体予約が入っており早朝にホ テルを出た。残念ながら小雨のぱらつくパリ市内。私にとってはルーブルも3度目の訪 問になる。 現地の日本人ガイドは限られた時間であらかじめ絞り込んだ著名な絵画や 彫刻の前へ手際よく案内した。 初めてデジタル・カメラも持参していたがフラッシュのたけない館内では撮影にも限界 がある。 |
雨の降るパリの1日は私にとって結構大変な1日だった。ノートルダム寺院での短い自由時間の後の集合場所はバスを降りたすぐ脇の小さな広場だった。
私は集合10分前には寺院のすぐ近くの土産店で、同じツアーの人達にも顔を合わせていた。
私は一足先に店を出て集合場所に急いでいた。ところが一筋曲がってすぐ見つかるはずの集合場所がない。時間までにもう5分しかない。しまった!一瞬方向感覚を失う。
とにかくさっきの店まで引き返そう、まだ誰かいるだろう。
傘を差したまま急いだ。ツアーの時はこの決められた集合時間が鬼門だ。私にはイギリス現地ツアーで前科がある。店には日本人はすでに一人もいなかった。
店を出て冷静になって回りを見渡すとこの店の前の広い道路を隔てた向かいがなんと私達のツァーの集合場所だった。
ノートルダム寺院では前にパリに来た時にも写真を撮っており、知っているという記憶が災いしたようだ。冷や汗をかいた私は何事もなかったように集合時間にぴったりバスに戻っていた。
ランチはサン・ラザール駅から少し北のPLACE
DE Clichy のレストランだった。午後からの自由行動のことを考えて私はあえてワインは飲まなかった。 スケジュール通りとはいえ食事が終わるとこの雨の中現地解散になった。我々のバスは既にいない。思わず愚痴をこぼす人達もいた。 私自身もタクシーでホテルに戻ると言う添乗員に便乗しようかと迷ったが、折角パリまで来て半日フイにするのは癪だ。 今朝バスで添乗員から渡されていたパリの地図は高島屋がスポンサーになっていた。添乗員の彼女の説明ではレストランを出て前の道を右にまっすぐ15分も歩けばデパートのプランタン。その1階に高島屋の店があるという。ショッピングの希望者の何人かはプランタンに向かった。 |
私は今回の半日の自由時間にはまだ行ったことのないモンマルトルの丘に上ることも考えていた。
雨こそ予定外ではあったが、解散場所は全く好都合。レストランのウエイターに我々のいるこの場所を地図の上で確認してもらう。モンマルトルは決して遠くない。
(Scine 2002)
皆思い思いの方角に散っていった。私も1人モンマルトルの丘を目指して北東の方角に進む。坂道に入った頃にはほとんど人通りはなかった。心配になって歩く方角だけは間違っていないか、
たまに坂を下ってくる人に声をかけて確かめた。
サクレクール寺院の白いドームが丘の上に見えた時はやっと着いたかと一安心。寺院を取り巻く石畳の路地にはジャンパーのフードをかぶった若者や傘を差した婦人が足早に通り過ぎた。
絵やポスターを並べた店店も客はいなかった。
寺院の中に一歩足を踏み入れると薄暗く広い空間が開けた。高い天井と深い奥行き。正面奥には大きな十字架があり、その上の天井には白い布を纏ったキリストが大きく両手を広げていた。
それはあたかも遠くアジアの国から来た異教徒の私さえ招き寄せている。私は遠く離れた後ろの長椅子に座り込んだ。ロープで囲まれた正面奥の席では祈りを捧げる人々が座っていた。
しかし後ろの私のいる席でも膝を折って席に着く人、十字を切って席を立つ人。
私はいつしかそのおごそかな雰囲気にひたっていた。観光に来ていた自分がなぜか敬虔な気持ちになっているのに気付いた。私はそれから1時間もそこに座り続けた。
(Baslique du Sacre-Caur 2002)
サクレクール寺院を出ると雨は一層激しくなっていた。高台だけに下から風も吹き付ける。私はタクシーでホテルに一旦帰ろうと思った。
タクシー乗り場を見つけると、店の庇で雨宿りをしてタクシーを待った。 寺院に入る前には見かけていたタクシーが一向に現れない。 10分たち,20分たち。客を乗せたタクシーがやっと1台現れ、ドライバーに声をかければ 「駄目だ。今の客は戻ってくるから」 と言う。それから又10分といたずらに時間が過ぎる。雨には濡れるし、寒くなるしと後悔していた。 |
すぐ先に止まっている警察の車に声をかけ、
「もう30分もタクシーを待っているが」
と愚痴をこぼし、一番近い地下鉄の駅への道を聞いていた。
諦めて駅に向かって坂を下り出したところ、タクシーが1台
上がってきた。やっと来たかと私は急いでタクシー乗り場
へ走る。
客が降りるのを待ちかねたように一人の男性が乗ろうとし
ていた。私は待ってくれと駆け寄って、
「今まで30分も待っていたのだ」
と訴える。もちろんドライバーもその客も知らない事。
そこへ先程の私に駄目だと冷たく言っていたドライバーが
「彼はずっと待っていたんだ!」
口を挟んでくれた。